「積水ハウスで建てた家だから、普通の中古より高く売れるはず」。そう思って地元の不動産会社に査定を頼んだら、築 20 年の建物を「ほぼゼロ」で見られてがっかりした、という声は珍しくありません。一方で、積水ハウス不動産のスムストック査定を使ったら建物に値段が付いた、という声もあります。どちらが本当なのでしょうか。
結論から言うと、積水ハウスの家は「売り方によって建物の評価が大きく変わる」物件です。この記事では、スムストック査定の仕組み、築 20 年の査定目安、積水ハウス不動産の自社買取・仲介の使い分け、そして地域の会社と比べるべき理由を整理します。
積水ハウス施工の戸建ては、大手ハウスメーカー 10 社の中古流通制度「スムストック」の対象です。一般的な査定では築 20 年前後で建物価値がほぼゼロになるのに対し、スムストック査定では建物を構造躯体と内装に分けて評価するため、築 20 年でも建物に価格が残ります。ただし、その査定額で買う人がいて初めて成約価格になります。
積水ハウスの家が「高く売れる」と言われる理由

スムストックとは何か
スムストックは、優良ストック住宅推進協議会が運営する既存住宅の流通制度です。参加しているのは積水ハウス、大和ハウス工業、住友林業、旭化成ホームズ(ヘーベルハウス)、セキスイハイム、トヨタホーム、パナソニック ホームズ、ミサワホーム、三井ホーム、ヤマダホームズの大手 10 社で、各社が施工した住宅のうち次の 3 つを満たすものが対象です。
- 住宅履歴データベースを保有している(新築時の図面、点検・補修の記録が残っている)
- 新耐震基準レベルの耐震性を持っている
- 50 年以上のメンテナンスプログラムがある
(出典:優良ストック住宅推進協議会「スムストック」公式サイト、2026年10月閲覧)
スムストック査定は建物を 2 つに分けて評価する
一般的な中古住宅の査定では、建物は築年数で一律に減価され、木造なら 20〜25 年でほぼゼロと見られます。スムストック査定では、建物を構造躯体(スケルトン)と内装・設備(インフィル)に分けて評価し、構造躯体は長い耐用年数で減価します。土地と建物の価格を分けて提示するのも特徴です。査定と販売は「スムストック住宅販売士」の資格を持つ担当者が行います。
評価の目安として、一般的な査定で築 20 年の建物価値がほぼゼロになるのに対し、スムストック査定では築 20 年時点でも半分程度の価値を維持すると解説されています。ただし、これは査定方式の話で、実際の成約価格は買主が付けた価格で決まります。
築 20 年の積水ハウスの査定目安(試算)

イメージをつかむために、新築時の建物価格 2,500 万円・土地 1,500 万円(合計 4,000 万円)の積水ハウスの家を、築 20 年で売る場合を試算します。金額は仕組みを説明するための例で、実際の査定額を示すものではありません。
| 査定の方法 | 建物の評価 | 土地 | 合計の目安 |
|---|---|---|---|
| 一般的な仲介会社の査定 | 0〜250 万円(築 20 年でほぼ償却) | 1,500 万円(地価が横ばいの場合) | 1,500〜1,750 万円 |
| スムストック査定 | 約 1,000〜1,250 万円(構造躯体に価値が残る) | 1,500 万円 | 2,500〜2,750 万円 |
| 買取(積水ハウス不動産・買取業者) | 仲介の想定成約価格の 7〜8 割が目安 | 1,200〜2,000 万円 | |
差が出るのは建物の見方だけです。だから土地値が大半を占めるエリア(都市部の好立地)では差が小さく、土地が安く建物が大きい郊外ほど差が大きくなります。郊外の積水ハウスの家ほど、スムストック査定を取る意味が大きいと言えます。
スムストック査定の額で売り出しても、買主がその建物価値を認め、住宅ローンの担保評価が付かなければ成約しません。査定額は成約を保証するものではなく、「売り出し価格の根拠」として使うのが正しい位置づけです。
積水ハウス不動産の「自社買取」と「仲介」の使い分け

積水ハウス不動産(旧 積和不動産)は積水ハウスグループの仲介会社で、全国に 100 以上の拠点を持ち、スムストック査定と売却後の点検・メンテナンスプログラムの引き継ぎを特徴としています。売り方は大きく 3 つです。
| 売り方 | 価格 | 期間 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| 積水ハウス不動産の仲介(スムストック) | 建物評価が残るため高めの売り出しができる | 3〜6 か月が目安 | 郊外で建物が大きい、点検記録がそろっている |
| 積水ハウス不動産の買取 | 仲介より低い(市場価格の 7〜8 割が目安)が、仲介手数料は不要 | 1〜2 か月 | 住み替えの期限が決まっている、現状のまま引き渡したい |
| 地域の仲介会社 | 土地値の相場に強く、買主を地元で抱えている | 3〜6 か月 | 都市部で土地値が大半、地元の買主が多いエリア |
オリコンの顧客満足度調査「不動産仲介 売却 戸建て」では、積水ハウス不動産は総合 75.1 点で業界平均の 72.3 点を上回り、地域別では近畿が 76.2 点、首都圏が 76.1 点です(2026年10月閲覧時点の掲載値)。口コミでは担当者の丁寧さを評価する声がある一方、担当者による対応の差や返答の遅さを指摘する声もあります。
一部の解説記事では、積水ハウス施工物件のオーナーが専任媒介で依頼した場合に仲介手数料の割引があると紹介されています。割引率や条件は公式サイトで確認できなかったため、査定時に店舗で直接確認してください。
スムストック査定を受ける前に確認すること

- 住宅履歴が残っているか。積水ハウスの定期点検を受けていない期間が長い、保証が切れている、といった場合は「50 年以上のメンテナンスプログラム」の条件に影響します。点検記録と保証書を手元にそろえてから査定を受けてください。
- 増改築を積水ハウス以外で行っていないか。他社で構造に関わるリフォームをしている場合、履歴の連続性が途切れ、評価が下がることがあります。
- 土地の境界が確定しているか。建物の評価が高くても、境界未確定だと引き渡し前に測量が必要になり、期間と費用がかかります。
※ イエサテーに寄せられた声をもとにした例です。
積水ハウス不動産の査定とあわせて、地域に強い会社の査定も最大 3 社比べられます。売るか未定でも相談できます。
無料で査定額を調べる積水ハウス不動産 1 社で決めてはいけない理由

スムストック査定は建物の評価に強い反面、土地の相場は地域の成約事例で決まります。駅近の土地や、地元で人気の学区にある土地は、地域の仲介会社の方が買主を先に持っていることが多く、結果として早く高く売れるケースがあります。
おすすめの進め方は、積水ハウス不動産でスムストック査定を取り、同時に地域の仲介会社 2〜3 社の査定を取って、建物の評価と土地の評価を分けて比べることです。地域の会社の査定が土地値しか見ていない場合でも、スムストック査定の建物評価を根拠に売り出し価格を上げる交渉ができます。
売却の期限が決まっている住み替えの場合は、先に売るか先に買うかで進め方が変わります。住み替えで家を売る流れでまとめています。相続した積水ハウスの家を売る場合は、売却前に相続登記が必要です。相続登記の義務化と売却前に必要な手続きを先にご確認ください。
よくある質問
Q. 積水ハウスの家は他のメーカーより高く売れますか?
A. 「他社より高い」という統計はありません。ただしスムストック査定を使えば、一般的な査定で見られない建物の価値が評価されるため、同じ築年数の一般的な木造住宅より売り出し価格を高く設定しやすいのは事実です。
Q. スムストック査定は積水ハウス不動産以外でも受けられますか?
A. スムストック住宅販売士が在籍する参加各社の仲介会社で受けられます。積水ハウス施工の家なら、積水ハウス不動産に依頼するのが一般的です。
Q. 築 30 年を超えた積水ハウスの家でも建物に値段は付きますか?
A. 住宅履歴が残り、耐震性とメンテナンスプログラムの条件を満たしていれば、スムストック査定で構造躯体に価値が残ります。ただし築 30 年を超えると内装・設備はゼロに近く、評価は構造躯体の分が中心になります。
Q. 積水ハウス不動産の買取は仲介よりどれくらい安いですか?
A. 一般に買取価格は仲介の想定成約価格の 7〜8 割が目安です。仲介手数料がかからない分と、契約不適合責任が免除されることが多い点を含めて比べてください。
Q. 定期点検を受けていない期間があります。スムストックの対象になりますか?
A. 対象になるかは履歴と建物の状態で判断されます。点検を受けていない期間があっても、積水ハウスに連絡して点検を再開し、履歴をつなぐことで対象になるケースがあります。まず査定を申し込んで確認してください。
Q. 売却後、買主は積水ハウスの保証を引き継げますか?
A. スムストックで売却した場合、点検・メンテナンスプログラムを買主に引き継げるとされています。保証の内容は建物ごとに異なるので、査定時に担当者に確認してください。
この記事のまとめ
- 積水ハウスの家は大手 10 社の中古流通制度「スムストック」の対象。構造躯体と内装を分けて評価するため、築 20 年でも建物に価格が残る
- 建物評価の差が効くのは、土地値が小さく建物が大きい郊外。都市部の好立地では地域の仲介会社との差は小さい
- 積水ハウス不動産の買取は仲介手数料不要で早いが、価格は仲介の 7〜8 割が目安。期限がある住み替え向き
- スムストック査定と地域の会社の査定を同時に取り、建物と土地の評価を分けて比べる。査定額は成約を保証しない
