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空き家の解体補助金はいくら?上限30〜100万円の自治体例と条件

空き家の解体補助金は市区町村の制度で、補助率1/3〜1/2・上限30〜100万円が中心。札幌市・墨田区・神戸市など2026年度の実例、着工前申請など共通条件、固定資産税の影響、古家付きで売る場合との損益比較を解説。

公開 2026/10/25 更新 2026/10/27 監修: 堀 充宏(株式会社カントリーライフ 代表取締役)

相続した実家が空き家のまま 2 年。屋根が傷んできて、近所から「危ないのでは」と言われ、解体を考え始めた。でも木造 30 坪で 150 万円前後と聞いて止まっている。そんな方に向けて、2026 年度の空き家解体補助金がいくら出るのかを、自治体の実例で整理します。

結論から言うと、補助金は国の制度ではなく市区町村ごとの制度で、補助率は解体費の 1/3〜1/2、上限は 30〜100 万円が中心です。制度が無い自治体もあります。そして、ほぼすべての自治体で「工事の契約・着工前に申請する」ことが条件なので、先に解体業者と契約してしまうと一円も出ません。

補助金の目安は「解体費の 1/3〜1/2、上限 30〜100 万円」。札幌市(通常型は上限 50 万円)、墨田区(上限 50 万円、再建築不可の敷地は 100 万円)、神戸市(戸建て 60 万円)のように自治体で大きく違い、さいたま市・福岡市のように解体専用の補助が無い自治体もあります。申請は必ず着工前です。

空き家の解体補助金はいくら?主要自治体の 2026 年度の例

空き家の解体補助金はいくら?主要自治体の 2026 年度の例

自治体の公式ページと、2026 年 5 月時点の民間調査(県庁所在地 47 市の一覧)をもとに整理しました。年度の途中で予算に達して受付が終わることがあり、翌年度には条件が変わります。申請前に必ず各自治体の公式ページで最新の要綱を確認してください。

自治体補助率上限額主な条件・備考
札幌市(北海道)通常型 1/3、地域連携型 9/10通常型 50 万円、地域連携型 150 万円事前確認で「危険空家等」と判断されたもの。申請は 2026 年 5 月 15 日〜9 月 30 日。個人のみ
墨田区(東京都)1/250 万円(無接道敷地の不良住宅は 100 万円)不良度の評点 100 点以上の不良住宅。使用の有無・築年数は問わない
神戸市(兵庫県)床面積に応じた定額戸建て 60 万円1986 年 12 月 31 日以前の建築。先着順。窓口は予約制
久喜市(埼玉県)4/530 万円申請期間は 2026 年 4 月 1 日〜11 月 30 日
北本市(埼玉県)-市内業者 30 万円、市外業者 20 万円老朽空き家等が対象
飛騨市(岐阜県)1/2100 万円個人が対象の場合
名古屋市(愛知県)1/3 または 2/340 万円または 80 万円老朽危険空家等の評価点(75 点以上 / 125 点以上)で区分
京都市(京都府)1/360 万円昭和 64 年 1 月 7 日以前の建築・非居住。期間限定の制度
富山市(富山県)4/5160 万円市の空家等対策計画に該当するもの
高知市(高知県)工事費の 8 割と面積基準の低い方164.5 万円老朽度 100 点以上、昭和 56 年 5 月 31 日以前の着工
鹿児島市(鹿児島県)1/330 万円倒壊のおそれがあり、1 年以上未使用
さいたま市・盛岡市・水戸市・津市・大津市・福岡市解体専用の補助金は確認できず耐震建替えやブロック塀撤去など別の補助のみ

(出典:札幌市「危険空家等除却補助」、墨田区「老朽危険家屋除却費等助成制度」、神戸市「老朽空家等解体補助制度」、久喜市・北本市の 2026 年度案内。その他は 2026 年 5 月 14 日時点の民間調査「47 都道府県 代表自治体 解体補助金一覧」による)

上限額が大きい自治体ほど条件が厳しい傾向があります。札幌市の地域連携型(150 万円)は除却後の土地利用に制限が付き、2026 年度は翌年度以降の案件の相談のみです。高知市や富山市のような高額の制度も、老朽度の判定や対策計画への該当が前提です。「上限 100 万円」だけを見て動かず、自分の家が対象の区分に入るかを先に確認してください。

ほぼ共通する 7 つの条件

ほぼ共通する 7 つの条件

自治体ごとに細部は違いますが、次の 7 つはほとんどの制度に共通しています。

  1. 工事の契約・着工前に申請し、交付決定を受けてから着工する。先に契約・着工した工事は対象外です。
  2. 「特定空家」「不良住宅」「危険空家」などの判定を受ける。住宅地区改良法の評点 100 点以上、倒壊のおそれ、といった基準で、自治体の現地調査があります。
  3. 旧耐震(昭和 56 年 5 月 31 日以前の建築)が条件になることが多い。神戸市は 1986 年以前、京都市は 1989 年以前と、自治体で線引きが違います。
  4. 1 年以上使われていない。直近の売買から 1 年以上経過していることを求める自治体もあります(札幌市)。
  5. 申請者は個人で、市税の滞納が無い。法人は不可の自治体が多数です。
  6. 建物の全部を解体して更地にする。一部解体は対象外です。市内の業者に依頼することが条件の自治体もあります(北本市は市内業者と市外業者で上限が違います)。
  7. 補助金は工事完了後の支払い。解体費はいったん全額を自分で払います。

「解体業者が補助金の申請を代行します」という営業には注意してください。申請は所有者本人(または親族)が行うのが原則で、業者の見積もりが補助の上限に合わせて高くなっているケースもあります。見積もりは 2〜3 社から取ってください。

補助金を使って解体したあと、固定資産税は上がる

補助金を使って解体したあと、固定資産税は上がる

解体を決める前に知っておくべきなのが固定資産税です。建物が建っている土地には「住宅用地の特例」が適用され、200 ㎡以下の部分は課税標準が 1/6、200 ㎡を超える部分は 1/3 に減額されています。更地にするとこの特例が外れるため、土地の固定資産税は最大で 6 倍になります(出典:国土交通省「空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報」、総務省 固定資産税の住宅用地特例)。

実際には都市計画税の扱いや負担調整があるため、税額の合計は 3〜4 倍程度になるケースが多いですが、たとえば年 6 万円だった土地の税金が 20 万円前後になる計算です。解体後に売却まで 2 年かかれば、補助金で浮いた 50 万円の一部は税金で消えます。

一方で、空き家を放置しても税金は上がります。2023 年 12 月に施行された改正空家法で「管理不全空家」の区分が新設され、市区町村から勧告を受けると、特定空家と同じく住宅用地の特例が外れます。特定空家の命令に従わない場合は 50 万円以下の過料もあります。「壊すと税金が上がる、放っておいても上がる」のが今の制度です。

解体して売るか、古家付きで売るか(補助金込みの損益)

解体して売るか、古家付きで売るか(補助金込みの損益)

売却を考えているなら、「補助金をもらって解体してから売る」と「古家付きのまま売る」を数字で比べてください。木造 30 坪・解体費 150 万円・補助金 50 万円・土地の相場 1,000 万円の例です。

項目解体して更地で売る古家付きのまま売る
解体費の持ち出し150 万円 − 補助金 50 万円 = 100 万円0 円
売却価格の目安1,000 万円850〜900 万円(買主が解体費分を値引きする)
固定資産税(売却まで 1 年の場合)特例が外れ 3〜4 倍特例が続く
手残りの目安約 880〜900 万円約 850〜900 万円
向いている場合倒壊のおそれがあり仲介で扱ってもらえない、売却まで時間がかかりそうな地方買主が自分で建てる・リフォームする需要がある、早く売れる見込みがある

この例では手残りがほぼ同じです。つまり「補助金が出るから解体した方が得」とは限らず、買主が付く見込みがあるなら古家付きで先に査定を取る方が、持ち出しゼロで同じ結果になることがあります。逆に、仲介会社に「この状態では扱えない」と言われる物件や、売却まで年単位でかかる地方では、補助金で解体して土地として売る方が現実的です。

相続した空き家を売る場合、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」で譲渡所得から最大 3,000 万円を控除できます。この特例は「耐震改修して売る」か「解体して更地で売る」が条件で、昭和 56 年 5 月 31 日以前の建築が対象です。解体補助金の条件と重なるので、両方を使える可能性があります(出典:国税庁 タックスアンサー No.3306)。詳しくは相続空き家の 3,000 万円特別控除の要件と期限をご覧ください。

Eさん(50代・千葉県在住・相続した実家は新潟県・築48年の木造)
市の補助金が 50 万円出ると聞いて、先に解体業者と契約してしまいました。申請は着工前と言われて対象外に。150 万円を全額払ったあとで知りました。先に市役所に電話していれば、と今でも思います。
Fさん(60代・兵庫県在住・実家は同じ市内・築45年)
解体する前に査定だけ取ってみたら、古家付きのままで買いたいという会社がありました。解体費と補助金の申請の手間を考えると、こちらの方が早くて、手残りもほとんど変わりませんでした。

※ イエサテーに寄せられた声をもとにした例です。

解体する前に、古家付きのままいくらで売れるかを地域の会社 3 社で比べられます。売るか未定でも相談できます。

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補助金の申請から受け取りまでの流れ

補助金の申請から受け取りまでの流れ

1

自治体の担当課に制度の有無と受付状況を確認する

「空き家 解体 補助金 ○○市」で公式ページを探し、建築指導課・住宅政策課などの担当課に電話します。予算が残っているか、今年度の受付期間はいつまでかを先に聞きます。

2

事前確認(現地調査)を受ける

「危険空家」「不良住宅」に当たるかを自治体が判定します。札幌市のように事前確認依頼書の提出期限が申請期限より早い自治体があります。

3

解体業者の見積もりを 2〜3 社取り、交付申請する

見積書、登記事項証明書、写真、納税証明書などを添えて申請します。審査には 1 か月前後かかることがあります。

4

交付決定の通知を受けてから契約・着工する

この順番を逆にすると対象外です。完了報告の期限(交付決定から 3 か月以内など)も確認しておきます。

5

完了報告を出し、補助金を受け取る。建物滅失登記も忘れずに

解体後 1 か月以内に法務局へ建物滅失登記を申請します。補助金は完了報告の審査後に振り込まれます。

空き家を放置した場合のリスクや、売却以外の選択肢は空き家の売却でまとめています。遠方の実家で現地に行けない場合の進め方は実家の売却をご覧ください。

よくある質問

Q. 空き家の解体補助金は全国どこでももらえますか?

A. もらえません。市区町村ごとの制度で、さいたま市や福岡市のように解体専用の補助が無い自治体もあります。国の「空き家対策総合支援事業」は自治体の制度を国が 2/5 支援する仕組みで、個人が国に直接申請するものではありません。

Q. 補助金はいくらくらい出ますか?

A. 解体費の 1/3〜1/2、上限 30〜100 万円が中心です。富山市の 160 万円や高知市の 164.5 万円のような高額の制度もありますが、老朽度の判定などの条件があります。

Q. すでに解体業者と契約してしまいました。間に合いますか?

A. ほとんどの自治体で、交付決定前に契約・着工した工事は対象外です。まだ着工していなければ、契約を一度白紙に戻せるか業者と自治体の両方に相談してください。

Q. 築 40 年の家でも対象になりますか?

A. 自治体によります。昭和 56 年 5 月 31 日以前の建築を条件にする自治体が多い一方、墨田区のように築年数を問わず「不良住宅」の判定で決める自治体もあります。

Q. 補助金で解体したあと、土地を売っても問題ありませんか?

A. 通常型の補助は売却に制限が無いことが多いですが、札幌市の地域連携型のように除却後の土地利用に制限が付く制度もあります。売却予定があるなら、申請前に自治体に伝えて確認してください。

Q. 解体と売却、どちらを先に決めるべきですか?

A. 売却を考えているなら、解体の前に古家付きのまま査定を取ってください。買主が付く物件なら解体費の持ち出しなしで同じ手残りになることがあります。査定で「この状態では扱えない」と言われた物件は、補助金で解体して土地として売る方が現実的です。

この記事のまとめ

  • 空き家の解体補助金は市区町村の制度。補助率 1/3〜1/2、上限 30〜100 万円が中心で、制度が無い自治体もある
  • 条件は「着工前の申請」「危険空家・不良住宅の判定」「旧耐震」「個人・税の滞納なし」「更地にする」がほぼ共通。補助金は後払い
  • 解体すると住宅用地の特例が外れて固定資産税が最大 6 倍。放置して管理不全空家の勧告を受けても同じく特例が外れる
  • 売る予定なら、解体の前に古家付きで査定を取る。補助金込みでも手残りが変わらないことがある。相続空き家の 3,000 万円控除は解体と相性がよい

関連ページ: 空き家の売却

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